取引主体識別子(LEI):作成、使用、利点
取引主体識別子(LEI)はバーコードに似ており、金融取引に参加している取引主体を識別する参照コードです。
LEIは、国際標準化機構規格(ISO 17442)に基づいており、各取引主体ごとに一意の英数字の文字列が生成されます。これは、LEIを使用して金融取引中に取引主体を正確に識別して、規制当局やリスクマネージャーが関与している事業体を特定できるため重要です。
LEIはグローバルな識別子であり、各LEIには、必要な参照情報に接続することによって、事業体の所有構造に関する関連情報が含められています。LEIは各取引主体に固有であり、公開データプールに格納されています。
LEIは、各金融取引に関与している人物を事業体が正確に把握できるため、グローバル市場に透明性をもたらします。
LEIとは?
LEI(取引主体識別子)は、金融取引に関与する取引主体の参照コードとして機能する、英数字から成る一意の文字列です。これは、金融取引中の透明性を確保するために、特定の各取引主体にグローバル識別子を提供する方法として機能します。
グローバルなLEIシステムは、2008年の株式市場暴落を受けて、G20(主要20か国)と金融安定理事会(FSB)によって提唱・推進されました。現在、有効なLEIは世界で200万以上あります。
LEIは、初の一意のグローバルな取引主体識別子です。LEIを使用することで、金融機関、規制当局、リスクマネージャーは、金融取引の相手方を即座に正確に確認できるようになります、
LEIは、ISO 17442標準に基づいた20文字の英数字コードです。これは金融取引において、誰が誰を所有しているのか、および誰が誰であるのかに関する重要な情報を提供する識別番号です。
なぜLEIが使われるのか?
2008年の金融危機を受けて、金融データを識別し特定の取引主体にリンクするために、グローバルなシステムが必要であることを強く認識するに至りました。この能力がなければ、金融機関は失敗が発生した際に自らのリスク範囲を判断するのが困難になります。
金融機関は、規制当局や政策立案者とともに、LEIを使用することで、金融システム全体のつながりを追跡し、潜在的なリスクを上手に特定できるようになります。これは金融取引を行う全当事者を正確かつ迅速に特定するのに役立ちます。
LEIを使用する取引主体には、以下が含まれます。
- 銀行
- 投資会社
- 融資機関
- 金融仲介機関
- 証券取引所に上場している事業体
- 商品トレーダー
- 保険会社
- 証券会社
- 信用組合
個人にLEI番号を発行することはできません。
LEIの仕組み
LEIは、2020年のISO仕様(ISO 17442-1:2020に記載)に基づく、20桁の英数字を組み合わせた参照コードです。LEIは、取引主体が初回登録料を支払い、その後年間維持費を支払い続けていれば、LEI付番機関(LOU)によって各法人に割り当てられます。これらの料金の一部は中央運営機関であるGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)に支払われます。
LEIにはいくつかの異なる要素があります。LEIの最初の4桁は、発行機関(LOU)を識別するものです。5桁目と6桁目は常に0の値を持ち、7桁目~18桁目はその法人に固有の番号が割り当てられます。LEIの最後の2桁は検証目的で使用され、ISO 17442標準で定義されたチェックデジットが割り当てられます。
LEIでは、それを表す取引主体に関する参照情報が2層構造を使って提供されます。レベル1の情報には、「誰が誰か」を示すデータが含まれており、次のようなものがあります。
- 取引主体の正式名称
- 取引主体の法的管轄区域
- 取引主体のステータス
- 登録機関
- LEI登録日
レベル2の情報には、「誰が誰を所有しているか」を示すデータが含まれており、次のようなものがあります。
- 企業構造における親子関係
- 親会社と子会社の概要
LEIは毎年更新されますが、更新の際には、法人のデータを再度検証して最新の状態を保つことが必要です。
グローバル市場におけるLEIの未来とはどのようなものですか?
現在、LEIはアメリカ合衆国(US)、欧州連合(EU)、英国(UK)、カナダ、オーストラリア、およびその他数か国で義務化されています。各国でも他の市場や金融機関で多数がLEIを採用し、任意で使用しています。
金融機関は国際的に運営している場合が多く、取引主体はLEIの取得を再三求められ、LEIがないと、取引ができなくなります。LEIはグローバルな識別子であり、その適用範囲は拡大を続けています。2021年8月時点で、LEIは225以上の国と地域の法人に対して発行されています。
アメリカ財務省金融調査局(OFR)の目標は、LEIの利用を引き続き拡大し、真に統一されたグローバルなシステムを推進することです。これにより金融の透明性が向上し、監視の強化や報告手続きの簡素化が可能になります。
グローバルなLEIの統治構造および世界的なフレームワークであるGLEIS(Global LEI System)は、ROC(規制監視委員会)、GLEIF、およびLEI発行機関であるLOUで構成されています。
LEIを採用するメリットは何ですか?
大手国際銀行は、金融取引を行う法人を複数持つことが多く、取引主体ごとでLEIを取得します。LEIを採用することで、金融取引を行う取引主体の構造や関係性の透明性が高まります。これにより、取引主体に対するリスク管理が強化され、グローバル市場に対するより深い知見が得られるようになります。
LEIを採用することで、データ照合や取引の不備を減らし、規制報告コストを削減することで、法人にとってよりコスト効率の高い運営が可能になります。LEIでは、以下の点で金融機関の業務効率化を支援することにより、業務の簡素化と効率化を図ることができます。
- データ収集
- 内部報告
- リスク管理
- データの維持管理
LEIがあれば、複数の識別子による重複や繰り返しを減らすこともできます。そのため、規制報告の簡素化にもつながり、報告機関の効率性を高めることもできます。業界標準の推定では、グローバルなLEIシステムを全面的に導入することにより、金融業界は3億ドルから100億ドルのコスト削減が見込まれます。
こちらの情報も併せてご活用ください
民間と公的機関とのパートナーシップにおいて、取引主体識別子システムは、完全かつ普遍的な普及を目指し、常に拡大しています。LEIのリソースとしては、次のようなものがあります。
- LEI発行機関:お近くのLOUを見つけられます。
- LEIの検索:有効なLEIを検索できます。
- グローバル取引主体識別子インデックス:LEI記録に関する現在および過去の参照データについて、情報を提供する中央リポジトリとして機能します。
- 取引主体識別子の検索:金融機関の参照データベースでLEIを検索できます。
Oktaは金融サービス業界で、アイデンティティとアクセス管理ソリューションを提供するとともに、取引主体のLEI採用を支援しています。また、GLIEF APIなどのAPIをセキュリティ保護し、LEIのより徹底的な検索を行い、企業構造をより深く掘り下げるのにも役立ちます。
参考文献
ISO 17442-1:2020(2020年8月、ISO)
FSB金融安定理事会(2022年、FSB)
LEI Statistics(2022年、Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF))
LEI(2022年、Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF))
Legal Entity Identifier、アメリカ財務省金融調査局(OFR)
Legal Entity Identifier – Frequently Asked Questions、アメリカ財務省金融調査局(OFR)
Get an LEI: Find LEI Issuing Organizations(2022年、Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF))
LEI Search 2.0(2022年、Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF))
Global LEI Index(2022年、Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF))
Find a Legal Entity Identifier、アメリカ財務省金融調査局(OFR)
金融サービス向けアイデンティティ管理とアクセス管理 (2022年)Okta.
GLEIF API(2022年)Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF).