クラウドのアイデンティティ管理ソリューションを選択するメリットとは?

クラウドサービスを採用することは、企業がITニーズに対する安全で効率的なソリューションを求めるにつれて、ますます一般的になってきています。市場調査会社であるIDCの 2024年版ガイド によると、クラウドサービスへの日本国内の支出額は、2028年までに7兆2,227億円に達し、2023年の2.2倍となると予測されています。クラウドからのプロビジョニングが増加している機能のひとつに、アイデンティティがあります。

クラウドのアイデンティティ管理ソリューションを外部の専門ベンダーに委託することを検討しているCIOやその他のリーダーは、そのメリットについて知っておく必要があります。それでは、クラウドのアイデンティティ管理ソリューションが、レガシーのアイデンティティ管理システムと比べ、どのようにプライバシー、セキュリティ、効率性を向上させるのかを見ていきましょう。

プライバシー

レガシーのアイデンティティ管理システムは、ソリューションの「つぎはぎ」になることが多く、ばらばらに浮かぶ「アイデンティティ諸島」です。この場合、プライバシーも「つぎはぎ」になってしまいます。ある調査によると、IT担当者の半数以上が、会社の極秘または機密データの在りかを知らないとも言われています。どこにあるのか分からないということは、どのアイデンティティがその情報にアクセスできるのかも分からないということになります。

そこで、クラウドのアイデンティティ管理ソリューションの活用です。アイデンティティは専門企業によってプロビジョニング管理され、機密データのストレージ管理は、一企業に代わり信頼できるサードパーティによって行われます。暗号化により、情報は安全に保管されます。レガシーシステムを利用する企業で働きづくめの従業員に、機密情報が詰まった文書の秘密鍵がどこにあるのか、誰がその鍵を解除するパスフレーズを覚えているのかについて尋ねることを想像してみてください。クラウドでは、最高レベルの 暗号化が、断片的ではなくデフォルトで全体に適用されます

高品質のクラウドプロバイダーは、適切な暗号化スキームと慣行を採用し、機密情報をプライベートに保ちます。保管中のデータと転送中のデータの両方を暗号化し、AES-256などのスキームが採用されるべきです。鍵の管理も不可欠です。例えば、ユニーク鍵は頻繁にローテーションしなければなりません。暗号化とプライバシーは、クラウドで管理するのがベストであり、たくさんの他の業務に追われるチームが行う必要はありません。

セキュリティ

レガシーシステムのセキュリティは、セキュアペリメーター(境界線の保護)の概念に基づいて設計されています。このモデルでは、組織のネットワーク境界線が明確に定義され、おそらくネットワークセキュリティ監視やその他のソリューションによって防御されます。

しかし、モノのインターネット(IoT)、在宅勤務者、ファイアウォールの限界によって、このセキュアペリメーターという考え方は時代遅れになっています。IoTにWi-Fi対応製品があるということは、無数のデバイスが企業ネットワークにアクセスするということを意味し、十分に拡張できないソフトウェアやインフラを疲弊させてしまうことになります。リモートワーカーには、もはやセキュアな境界線がないということになります。また、ファイアウォールでは内部脅威には対処できません。

クラウドのアイデンティティ管理ソリューションは、これらの問題を解決します。第一に、クラウドインフラストラクチャは、IoTや業務で使うデバイスの拡大し続けるニーズに合わせて拡張することができます。第二に、クラウドはどこでも利用できるため、組織の境界や境界線という時代遅れの概念がなくなります。最後に、管理者はユーザーがどのようなアクセス権を持ち、そのアクセス権を使って何をしているかを完全に可視化することができます。

効率性

レガシーのアイデンティティ管理システムによって、組織は身動きが取れなくなっているかもしれません。ユーザーはパスワードを忘れたり、サインオンプロセスに問題が発生したりします。どのアプリケーションにアクセスしているのかが可視化できないため、ITチームが答えを見つけ出そうとしても頭痛の種になるだけです。インフラは断片化され、さまざまなタイプのデバイスやユーザーにアクセスを提供するためにシステムがサイロ化されます。

一方、クラウドのアイデンティティ管理ソリューションはシンプルです。ユーザーは、通常1つのアカウントを使用します。クラウドのアイデンティティ管理ソリューションによるシングルサインオンは、特定のユーザーに多数のリソースへのアクセスを動的に付与することができます。サーバールームを埋め尽くすような煩雑なハードウェアや、パッチを提供して後は運に任せるようなソフトウェアもありません。つまり、これほど簡単なことはないのです。

クラウドのアイデンティティ管理ソリューションでは、IT予算も大幅に簡素化できます。契約と管理に費用はかかりますが、それだけです。ソフトウェアの定期的なライセンス料だけでなく、拡大し続けるサーバールーム、VPNのセットアップ、ハードウェアの修理などにかかる費用もなくなります。その結果、IT部門だけでなく、経理部門もその効率性を高く評価することになります。

クラウドのアイデンティティ管理ソリューション

ビジネスには、ツールの柔軟性が必要であり、クラウドはそれを提供してくれます。クラウドはいつでも利用可能で、かつ、常に稼働しているため、企業が選択できるアプリケーションやプロセスが多数用意されています。クラウドのアイデンティティ管理ソリューションがあれば、企業は何千台ものデバイスと無数のアプリケーションを安全かつ効率的な方法で接続できます。クラウドのアイデンティティ管理ソリューションの導入は簡単です。プライバシー、セキュリティ、業務の効率性をスピーディーに改善します。