Moneyfarm:アプリケーションを近代化し、開発者の俊敏性を促進
Oktaとの提携によって節約したリソース(アイデンティティを社内構築した場合と比較)
実用レベルのMFAプロトタイプ構築にかかった時間
「MFAやBrute-Force Protectionを社内で構築した場合、プロジェクトの運営と構築に5人以上の開発者が必要になったと考えられます」
シニアエンジニアリングマネージャー、Alessandro Orrù氏
Moneyfarmは、ヨーロッパ有数の規模を誇るオンライン資産運用企業です。シンプルで透明性の高い投資方法を提供することで信頼を得ており、顧客5万人以上を抱え、10億ポンドを超える資産を管理しています。Moneyfarmでシニアエンジニアリングマネージャーを務めるAlessandro Orrù氏は、「市場では透明性が欠如している」と説明しています。Moneyfarmの特徴は、「投資資金が少ない、または投資の十分な知識がない」人でも利用できるという点です。
Moneyfarmは、多くのスタートアップ企業と同様に、当初はすべてのサービスを処理するモノリシックなアプリケーションを使用していました。しかし、そのままでは拡張できないことを認識したOrrù氏とチームは、マイクロサービスのアプローチを採用することを決定しました。
認証を抜本的に見直すことも、初期の優先課題の1つでした。Orrù氏は、次のように語ります。「金融商品の販売を専門とする当社にとって、認証の構築は対象外であり、手に負えません。認証は非常に複雑です。当社が開発者のリソースを費やして、日常的に取り組むべきことではありません。そこで、開発者の時間を開放し、成果と安全性を向上できるような製品を探しました」こうして、同社はすぐにCustomer Identity Cloud, powered by Auth0を採用しました。
モバイルの実装を2日で実現
Moneyfarmは、2018年にCustomer Identity Cloudの導入を正式に契約し、モバイルアプリとWebサイトの両方ですべての顧客認証の移行を開始しました。Webサイトでは、プラットフォームのカスタムデータベース機能を使用して、Customer Identity CloudをMoneyfarmのレガシーのシステムに接続し、シームレスな移行を確保しました。Orru氏は、「システム間の移行に対処する必要がありましたが、意外に簡単でした」と振り返ります。
Moneyfarmのモバイルアプリケーションの認証をCustomer Identity Cloudに移行したことについて、同氏は「ユーザーベースにすべて接続していたので、さらに簡単でした」と述べています。プロセス全体はわずか数日で完了し、Oktaのソフトウェア開発キット(SDK)とドキュメントによってプロセスが合理化したことを、同氏は高く評価しています。
迅速な実装によって、MoneyfarmはMulti-factor Authentication(MFA)などの新しいCustomer Identity Cloud機能を追加していくことができました。「実用レベルのMFAプロトタイプは、わずか数時間で完成しました」と、Orrù氏は報告します。また、チームはActionsを使用してMFAソリューションをカスタマイズし、ユーザーが好みに応じて利用できるようにしました。
開発者5人分以上の仕事をCustomer Identity Cloudが実行
Customer Identity Cloudによって、Moneyfarmのチームでは、約30人の開発者全員がコア製品の構築に集中できるようになっています。Orrù氏によると、MFAやBrute-Force Protectionを社内で構築したと仮定すると、プロジェクトの運営と構築に5人以上の開発者が必要になったと考えられます。機密性の高い金融情報を扱い、GDPRに準拠する必要がある企業にとって、こうした機能は不可欠です。
Orrù氏は、「認証のセキュリティのために、常に最先端のソリューションを構築していくほどの十分な人材を、当社は持っていません」と説明します。
Customer Identity Cloudは、カスタマーサポートにかかるチームの時間も削減しています。それまで、ユーザーが誤ってBrute-Force Protectionを発動させ、アカウントへのアクセスが遮断された場合には、解除に5分ほどかかっていました。こうした細かい対応のために、毎週10〜15件のサポートチケットが作成され、積み上がっていきました。現在、このプロセスは数秒で完了します。Orrù氏は、次のように語ります。「開発者がデータベースを直接編集することなく、ユーザーのブロックを解除できるようになりました。Customer Identity Cloudでユーザーを検索し、ブロックを解除するだけです」
認証が、新たなパートナーと可能性への道を切り開く
Customer Identity Cloudを使用することで、MoneyfarmはPoste(イタリアの郵便サービス)とのコラボレーションなど、新しいプロジェクトを推進できるようになりました。Orrù氏は、次のように述べます。「Posteと契約して開発を開始した際は、当社のシステムでPosteのメンバーが認証できるようにするために、Oktaが大いに役立ちました。Oktaを導入していなければ、そのための独自ソリューションの構築に多くの時間を費やしていたでしょう」
また、最近では、Moneyfarmのアプリをユーザーの銀行口座に直接連携させる施策を含むEU決済サービス指令(PSD2)に対応しました。Orrù氏は、次のように説明します。「PSD2によって、たとえば、ユーザー本人に銀行から当社に投資資金を送ってもらう代わりに、当社がユーザーに代わって電信送金を実行できます」これは、同社のビジネスの大きな躍進をもたらします。「認証システムの再構築に社内で取り組んでいたら、優先順位が変わっていたでしょう。Oktaなしでは、PSD2対応は実現できなかったはずです」
Moneyfarmについて
ヨーロッパ全域の5万人以上のアクティブな投資家から信頼されるMoneyfarmは、シンプルな投資アドバイスと資産運用を組み合わせた独自サービスをオンラインで提供しています。2012年に設立され、英国に本社を置く同社は、投資を簡素化し、多様なポートフォリオに関するアドバイスを提供し、さまざまな資産クラスを通じて持続可能な成長を実現します。オンラインプラットフォームとアプリの両方を通じて運営されるMoneyfarmの投資アプローチは、人の共感と金融の専門知識にテクノロジーの効率を組み合わせ、すべてのユーザーに費用対効果の高いアドバイスと投資ソリューションを提供します。同社は、共同創業者のGiovanni DapràとPaolo Galvaniが率いています。