DX推進の認証基盤としてOktaを導入した鴻池運輸
約6,000人以上の従業員を対象にOktaを展開
国内・海外の200以上の拠点が利用する認証基盤を整備
システム部門の従来の作業負荷を1/2以上削減
- オンプレミスからクラウドシステムへの移行を支える認証基盤を確立
- 国内外の事業拠点におけるセキュリティ対策を標準化
- SaaSシステムのアカウント管理業務の効率化
- リモートワークに対応できる柔軟な働き方の実現
- DXを推進するためのプラットフォーム
クラウド化の推進に向けた各種SaaSソリューションの導入に際し、根幹となる認証基盤としてOktaを導入
Oktaを活用し、国内・海外の200以上の拠点におけるセキュリティ対策を標準化
Oktaのプロビジョニング機能により、従業員の入退社・異動に応じて、SaaSシステムのアカウントを自動的に追加・解除したりすることが可能になり、効率の良い管理業務を実現
Oktaを活用した認証基盤により、全社的に一気にリモートワークに移行できる環境を構築
Oktaは様々なSaaSシステムと連携しやすいため、様々なテクノロジーを導入してDXを推進していくことが可能に
「Oktaを導入する企業は世界中で急速に増えていましたし、業界標準のSaaSシステムとの親和性が非常に高く、連携しやすい点も高く評価されていました。さらに既存のオンプレミスシステムと連携できる機能を備えているといった点なども踏まえて、OktaのPoC(技術検証)を実施しました」
鴻池運輸株式会社 デジタルトランスフォーメーション推進部部長 佐藤雅哉 氏
オンプレミスからの脱却を目指したクラウドファースト戦略
1880年に創業された百数十年の歴史を持つ鴻池運輸株式会社(以下、鴻池運輸)は、「期待を超えなければ、仕事ではない」というブランドプロミスと、「『人』と『絆』を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します」という企業理念のもと、国内外の物流サービスと、製造業界、メディカル業界、空港業界など幅広い分野における請負サービスの2本柱を軸に事業を展開しています。現在は国内・海外に200以上の拠点を擁しています。
鴻池運輸は、中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)で「革新への挑戦『技術の活用とDXならびに協業による挑戦』」を重点事項の一つに定め、取り組んでいます。それに先立つ2018年から3年間のICT推進本部中長期目標であったクラウドファースト戦略のもと、ICT基盤刷新によるDXが進められてきました。
デジタルトランスフォーメーション推進部の部長として、社内インフラ、セキュリティ、コミュニケーションの3部門を統括する佐藤雅哉さんはこう説明します。 「2018年当時の弊社では、オンプレミスのレガシーシステムが乱立していて、完全にサイロ化されており、それらを活用しようとしても連携ができない状況でした。そうしたオンプレミス中心のシステムから脱却するために推進したのがクラウドファースト戦略でした。」
Oktaを活用し、クラウドシステムに移行していく必然性
オンプレミスのシステムには、初期投資の費用がかかるだけでなく、運用コストが見えにくくなるという問題もありました。仮に5年間で償却を終え、システムをリニューアルしていくというプランは立案できても、日常的に発生する運用コストまでは把握しきれない、あるいはリソースが足りなくなった場合に、すぐに対応するのが難しいことなどもネックとなってきました。佐藤さんによれば、これらの課題を解決する切り札となるのがクラウドへの移行でした。
「クラウドならば運用費用を抑えながらコストを可視化できますし、要件の変化にもすぐに対応できます。しかも日常的な保守はソリューションプロバイダーに任せられるので、可用性がまるで異なってきます。我々にとっては柔軟なIT環境を作ることも大きな目標の1つでしたので、様々なクラウドファーストのテクノロジーを活用しながらクラウドに移行していくのは、弊社にとって必然の流れでした」
かくして鴻池運輸では、クラウドファースト戦略を実行に移すべく、各種のテクノロジーが比較検討されました。その際、最も重要となるクラウドソリューションの認証や従業員のアイデンティティ管理、セキュリティ対策の認証基盤として選ばれたのがOktaのワークフォースアイデンティティ管理製品「Okta Workforce Identity Cloud」(以下、Okta WIC)でした。Okta WICを選択した理由として、佐藤さんは次のように述べています。「Oktaを導入する企業は世界中で急速に増えていましたし、業界標準のSaaSシステムとの親和性が非常に高く、連携しやすい点も高く評価されていました。さらに既存のオンプレミスシステムと連携できる機能を備えているといった点なども踏まえて、OktaのPoC(技術検証)を実施しました」
鴻池運輸では6ヶ月間の詳細なPoCを行い、Okta WICをZscalerやCrowdStrike、Salesforce、Zoomなどと連携させた、新たなシステムの実装に着手。実装作業に1年半ほどかけて、コロナ禍でリモートワークが本格的に始まった2020年2月から、国内外200以上の拠点の約6,000人の従業員を対象に展開を開始しました。
同社のデジタルトランスフォーメーション推進部の副長として、クラウド型サービスの企画検討から導入、運用・保守などの実務を担当している戸松聡さんは、Okta WICの導入自体は予想以上にスムーズだったと振り返ります。「Oktaはクラウドソリューションを導入して、DXを推進するための根幹となるプラットフォームですが、設定が簡単で操作性も非常に高いのが特長です。新型コロナウイルスが本格化し始めた2020年の2月から全社的にテレワークやリモートワークに一気に移行できたのは、OktaとSaaSシステムとの連携がスムーズにできたためです」
Okta導入がもたらした業務効率化とセキュリティ向上
現在、鴻池運輸ではSingle Sign-On、Universal Directory、Lifecycle Managementという3つのOkta WIC製品を利用しています。
まずSingle Sign-Onは、ZscalerやCrowdStrike、Zoom、Salesforce、Microsoft 365などの各種SaaSシステムを従業員が利用する際、単一のIDとパスワードでシングルサインオンするために活用されています。
Universal Directoryは、従業員の入退社や異動に際してActive Directory(AD)上で変更した情報が、Okta WIC側にも同期されるようにするために活用されています。ADを併用する環境で情報入力の二度手間を削減することができます。
Lifecyle Managementは、従業員の入退社や異動などに応じて、Okta WIC側でIDの情報が登録したり、更新した時に、それと連携するSaaSシステムのアカウントを自動的に追加・解除したりするために活用されています。これにより、システム部門は効率の良い運用ができます。
Okta WICの導入は数多くの効果をもたらしました。戸松さんは次のように語っています。「どんなシステムでも、新たにSaaSを導入するには、プロビジョニングによるID追加が必ず必要になりますが、Oktaを使えば10分から15分くらいで簡単に設定を完了することができます。仮にOktaを基盤に据えずにSasSを展開していった場合には、逐一、手動でアカウントの作成や削除、管理をする形になっていたでしょう。Oktaはシステム部門の作業負荷を2分の1以上軽減してくれました」
一方、Okta WICの導入は、SaaSを新たに導入する際の敷居を低くし、クラウドファースト戦略自体を加速させることにも貢献しました。Oktaは実用的なAPIも豊富に用意されているため、一括して導入や設定を行うことが可能だからです。
さらに戸松さんは、全社的にセキュリティが飛躍的に高まったこと、誰にどのような形で権限が付与されているのかが可視化されたこと、安心安全にシステムを運用できるようになったことなども、Okta WICがもたらしたメリットとして挙げています。「Oktaの導入以来、致命的なシステム障害が起きたケース、たとえば正常にログインができなくなったり、接続されているアプリケーションがスムーズに利用できなくなったりした事例は一度もありません。このような信頼性の高さは、弊社のように社会の中で重要な役割を担っている企業にとって、きわめて重要なことなのです」
また、Okta WIC導入以前は、国内と海外で従業員が使うシステムが統一されておらず、海外拠点でセキュリティ上の課題が生じていましたが、Okta WIC導入によって国内と海外で共通のセキュリティ対策を取り入れることができました。
Oktaの導入が切り拓く、日本経済の新たな未来と可能性
現在、鴻池運輸では「2030年ビジョン」に基づき、先端テクノロジーを活用して、システムの合理化や業務の効率化、全社的なセキュリティの向上を図っています。佐藤さんによれば、鴻池運輸の事例は、業界全体にも大きな影響を与えています。オンプレミスの古い業務システムに依存している企業がいまだに多く残る中、鴻池運輸はOktaを活用したクラウド化がもたらす効果を、理想的な形で例示しているからです。
「今、改めて強く感じるのは、自分たちの方針が間違っていなかったということです。他社も同じような課題を抱えており、最近では他社からアドバイスを求められることも増えてきましたし、弊社と同じ方向に舵を切り始めた企業が少しずつ増えている印象を受けます。こういう流れが広まっていけば、現場レベルでの情報共有も一層進み、DXが加速していくことが期待できます。これからも業界や社会全体を活性化し、日本経済を元気にするために貢献していければと考えています」
鴻池運輸は物流サービスや請負サービス業界の未来を拓くべく、テクノロジーの力を活用して業務プロセスを新たに変えていくDXを力強く推進し続けています。この構造改革を確かなテクノロジーで支え続けているのが、クラウド化を推進する上で必須の認証基盤であるOktaなのです。