カスタマー(ユーザー)エクスペリエンス事例: Albertsons 社
1週間あたりの顧客数
店舗数
単一の顧客アイデンティティを使用して統合したチェーン数
- 小売り業界におけるDX環境への変化
- 完璧なフィット
- 堅固な基盤
- 円滑な移行
- 信頼できるエクスペリエンス
Albertsons 社は毎週 3,000 万人もの顧客に対応しています。顧客の要求が変化したことで、この老舗小売店に新たな課題が生まれました。これを機に同社は、実店舗、オンライン、モバイルの区別なく顧客に対応していくことを決めました。同社は、インフラストラクチャを最新化して、個々のバナーの見た目や使用感を変えることなく、シームレスで一貫したエクスペリエンスを創造したいと考えました。
ITの保守を軽減し、イノベーションに移行するためのソリューションを必要としていたAlbertsons Companiesは、シームレスなカスタマーエクスペリエンスを提供するアイデンティティパートナーを探しました。それは同社にとって、インフラの一元化、標準化、保護を実現すると同時に、信頼できる拡張性と安定性を提供するIDaaSソリューションを選定することでした。
Oktaの顧客アイデンティティ製品を選択した同社のITチームは、製品への理解を深め、自社インフラストラクチャへの適合方法を検討できるようになる必要がありました。そこで同社は、戦略、トレーニング、実装のプロセスを通じた支援のために、Oktaのプロフェッショナルサービスチームを採用しました。
Albertsons Companiesは、移行中にデータを失うことなく、数百万の顧客の資格情報を一元化された単一システムに移行する必要がありました。そのために開発されたカスタムのプログラムは、顧客がサインインしたときに自動的にOktaに移行するよう設計されました。このプログラムは同時に、レガシーシステムの資格情報を自動的にシャットダウンすることで、アイデンティティの重複を排除しました。
この移行により、同社は、セキュリティ態勢を強化し、アクセス要求の制御を向上させ、拡張性を改善し、所有コストを削減しました。これらのメリットと、新たに統合されたインフラによって強化されたアナリティクス機能を活用することで、同社は顧客の好みに即した割引を提供できます。顧客にとっては、信頼の置ける企業を利用して食料品を購入する際に、カスタマイズされたエクスペリエンスを得られるようになりました。
米国最大級の食料品店であるAlbertsons 社は、買い物客が求めているもの、つまり店舗でもオンラインでも、あるいは両方が混ざった形態でも、シームレスなカスタマー・ユーザーエクスペリエンスを提供することを目指していました。同社は、これを実現するために、ITインフラの最新化、統合、およびセキュリティ確保を支援してくれるDXを支援してくれるアイデンティティパートナーを必要としていました。
このイニシアチブにより、各顧客は単一のアイデンティティを持つようになりました。カスタマーそれぞれに合ったエクスペリエンスを提供していますが、これは複数のユーザーアイデンティティとパスワードを使い分けるという意味ではありません。
Albertsons社 ITデジタル/データ/ファーマシー担当GVP、Ramiya Iyer氏
利点
- 何百万人もの顧客に統合・合理化されたエクスペリエンスを提供
- M&Aを通じた成長に対応する拡張性
- アクセス要求に対する可視性とアナリティクスの向上
- 所有コストの削減
- 信頼性の向上
- ユーザー移行の合理化
DX化によりお客様を第一にした小売りへ
Albertsons Companiesは全米各地で事業を展開しています。シカゴではJewel-Osco、北カリフォルニアではSafeway、ペンシルベニアではACMEを運営し、米国最大級の食料品小売業者であるAlbertsons Companiesは、19の異なるチェーン店事業を抱え、顧客数は1週間あたり3,000万人を超えます。
AlbertsonsでITデジタル/データ/ファーマシー担当GVPを務めるRamiya Iyer氏は、次のように語ります。「当社は、それぞれの地域で消費者に選ばれるスーパーマーケットになることを目指しています。Albertsonsは、長年にわたり買収を通じて成長してきました。当社のチェーンの中には100年を超える歴史を持つものもあります。それらの個性豊かなチェーンが地域社会との間に築いてきた深いつながりを、大切にしたいと考えています」
Albertsonsの顧客層は、店舗のある地域と同様に多様です。誰もが食料品を必要とする点は同じですが、顧客の要求は変化しており、その方向性は多様です。
Iyer氏は次のように説明します。「たとえば、お客様のいる場所に出向いてサービスを提供することを重視しています。外出せずに買い物をし、短時間で食料品を届けてほしいという要望に応えるため、Instacartと提携し、ラッシュデリバリーという宅配を提供しています。また、特定の精肉店をよく利用するお客様については、その個人的つながりを断たないようにするための優れたエクスペリエンスを店舗内で提供しています」
チェーンと顧客の要求が多様化することにより、実店舗を運営する多くの小売業者に共通の技術的な課題が生じています。Albertsonsは、個々のチェーンの外観を維持しながら、実店舗環境とオンライン環境の両方でシームレスで一貫性のあるITエクスペリエンスを構築する必要がありました。同社はこれを、より優れたエクスペリエンスを顧客に提供する機会であると捉えました。
Iyer氏は次のように述べます。「テクノロジーはお客様のエクスペリエンスを支援します。しかし、お客様に喜びを与えるのは食料品です。お客様はテクノロジーではなくシリアルを買うために当社を利用するのです。その一方で、お客様がモバイルアプリを使用する場合も、実店舗に足を運ぶ場合も、当社のWebストアを使用する場合も、エクスペリエンスがシームレスになるようにしたいと考えています」
セキュリティと利便性のバランス
Albertsonsは、カスタマーエクスペリエンスを向上させるために、ITの大幅な変革を必要としました。Iyer氏は次のように語ります。「以前からユーザーIDとパスワードの重複の問題がありました。チェーン間だけではありません。同一チェーン内のアプリ間でも、しばしばこの問題がありました。たとえば、当社のEコマースサイトとロイヤルティサイトを使用するには、2回ログインする必要があるといった状況でした」
ユーザーIDとパスワードが増加することにより、AlbertsonsのITインフラの攻撃対象領域が拡大します。そのために、侵害のリスクが高まりました。顧客の信頼の維持は同社の優先事項であることから、新しいインフラには強固で柔軟なセキュリティが組み込まれていることが必要でした。
同社ソフトウェアエンジニアリング担当副社長であるRoopa Acharya氏は、次のように述べます。「当社は数百万もの顧客データを保存しているので、セキュリティを大変重視しています。データを常に確実に暗号化する必要があります。エンドツーエンドのカスタマーエクスペリエンスを提供するには、Webサイトでも、データを格納するバックエンドでも、セキュリティソリューションが確実に機能していなければなりません」
複数のアイデンティティを排除することで、Albertsonsのセキュリティ態勢を強化するだけでなく、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。そのために、機密のデータやアプリのセキュリティを強化しながら、必要に応じてアプリとチェーンの間でデータが流れるようにします。
Iyer氏は次のように説明します。「カスタマージャーニーについて、実店舗とオンラインの資産にわたって統一的に捉えています。多くのお客様は、オンラインで買い物をしてから実店舗に出向く、または実店舗からスタートしてオンラインで注文を完了させるといった行動をとっています。したがって、実店舗とオンラインでシームレスなエクスペリエンスを提供するテクノロジーを構築しています」
このアプローチのメリットは、利便性と安全性が向上したユーザーエクスペリエンスだけではありません。さらに、顧客の好みについて洞察を得て、ニーズに合ったオファーをカスタマイズできるようになります。
Iyer氏は次のように語ります。「お客様についての理解を深めることで、個々のエクスペリエンスを向上できます。そのためには、単一の顧客記録を使用できなければなりません。それはもはやトランザクション単位での問題ではありません。たとえば、お客様が西海岸から東海岸に転居し、SafewayではなくJewel-Oscoを利用するようになった場合、Safewayでの設定をJewel-Oscoに適用することが可能です。脂肪分2%の有機牛乳が好みだと把握していれば、新しいクーポンが発行されたときにJewel-Oscoでも同様の牛乳を割引価格で提供できます」
パートナー選択
しかし、この目標を達成するため、Albertsonsはインフラを近代化する必要がありました。同社は、自社開発のアイデンティティ管理ソリューションを使用していましたが、保守の負担が重く、各顧客の統合ビューを得ることができませんでした。社内ソリューションへの投資を継続するかどうかを検討した結果、自社の得意分野、つまり食料品の販売に集中する道を選びました。既存の顧客アイデンティティおよびアクセス管理ソリューションと連携することにより、開発者は、カスタムソリューションを開発・保守する代わりに、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する方法を探求できます。このアプローチには、所有コストを削減するという追加のメリットもありました。
アイデンティティプロバイダーとのパートナーシップでは、セキュリティ態勢を強化できることが鍵となりました。Iyer氏は次のように強調します。「どのような形であってもお客様のアイデンティティを損なう事態を防止しなければなりません。お客様は当社を信頼して情報を共有しているのです。したがって、情報の安全性を確保することが不可欠です」
また、同社は高いレベルの安定性も必要としました。新しいマーケティングプログラムやEメールキャンペーンを開始したときには、登録(つまりトラフィック)の急増が発生します。これに対応できる十分な安定性が、アイデンティティソリューションに求められました。
拡張性も重要でした。特に、合併と買収を通じた成長戦略を採用している同社にとって、これは優先度の高い要素でした。Iyer氏は次のように述べます。「現在のチェーン数は20でも、今後は40になるかもしれません。当社のビジネスに応じた拡張性を提供して安全性を維持できるパートナーが必要であったため、これはパートナー選定での重点でした」
最後に、理想的なアイデンティティパートナーには、これらすべての要件を満たしながら、肯定的で革新的なカスタマーエクスペリエンスを実現するというバランスを取ることが期待されました。そのためには、全チェーンにわたって、アイデンティティインフラストラクチャ全体を一元化し、標準化する必要がありました。
Oktaはこれらの要件をすべて満たしたことから、Albertsonsは、承認、認証、ユーザー管理、APIアクセス管理、MFAを含むOktaの顧客アイデンティティ製品を購入することを決定しました。
Acharya氏は次のように振り返ります。「Oktaはアイデンティティ管理の業界リーダーであると評価しました。ほかにも大手のソリューションをいくつか検討しましたが、当社の要求をすべて満たすのはOktaであると感じました。自社で構築することは確かに可能ですが、Oktaは私たちのニーズに完全に合致しているので、一から作り直す必要はありませんでした」
Oktaは、すべての技術要件に適合しただけではありません。AlbertsonsのITチームは、Oktaのカスタマーファーストチームとの長期的なパートナー関係にも確信を持つことができました。
バックエンドの構築
Oktaとの戦略策定に臨むにあたって、Albertsonsは多くの重要な考慮事項を念頭に置いていました。同社のデジタルカスタマーエクスペリエンスチームを統括するAcharya氏によると、サインインセッションの仕組み、ユーザーのアクティビティに応じたステップアップ認証要件の変化、購入履歴に基づく割引のパーソナライズなどの課題が検討されました。
Oktaの教育サービスチームとのトレーニングセッションは、これらの要素の検討に役立ちました。また、クラウドベースのアイデンティティ管理の仕組み、Albertsonsのシステムとの統合についても理解を深めることができました。さらにOktaは、チームがOktaの顧客アイデンティティ製品をより詳細に理解できるよう支援しました。
シームレスな戦略
Albertsonsのレガシーインフラストラクチャは、LDAPとOpenSSO上に構築されていました。同社は、すべてのユーザー資格情報をそこからOktaに移行するための最善の方法を見極める必要がありました。大規模な移行作業により、数百万の顧客が一元化されたインフラストラクチャに移行されました。
また、移行プロセス中にデータをどのように処理するかを決定する必要もありました。Albertsonsは、セキュリティを強化し、顧客にとってシームレスな移行プロセスとするために、チェーンを順次移行していくことを決定しました。
Acharya氏は次のように語ります。「顧客データをレガシーシステムから新しいシステムに移行する一方で、常に更新されアクティブで最新の状態を保持できる方法を見つける必要がありました。線路を敷きながら電車を走らせるようなものです。当社のビジネスは動きが速く、多くのプロジェクトが同時に進行していました。その中で、新しいシステムに移行しなければなりませんでした」
顧客アカウントの重複をシームレスに排除することも、同社の目標でした。Acharya氏は次のように説明します。「Vonsに登録し、ACMEにも登録した場合は、それらのアカウントをマージする必要がありました。一方の登録をクローズしてアカウントのデータを1つにまとめ、移行がシームレスであることを確認する必要がありました」
効果的な移行
AlbertsonsとOktaのプロフェッショナルサービスチームは連携して、リスクを最小限に抑えて複雑さを軽減しながら移行を遂行する戦略を策定しました。OktaのAPIにより、Albertsonsは移行中に認証に必要なバックエンド接続を確立できました。
さらに、Acharya氏のチームはOktaと協力して、新しいAPIを開発しました。Acharya氏は次のように述べます。「ジャストインタイム方式の移行を作成しました。これは、レガシーシステムとOktaの両方で実行されるコードで、お客様をサインイン時に移行します。移行後は、古いアイデンティティ管理システムをオフにし、リスクを軽減できました」
このフレームワークを導入することで、Albertsonsは移行されていないデータも維持できました。Acharya氏は次のように評価します。「レガシーシステムと新しいシステムの間でアカウントを最新の状態に保つと同時に、顧客データを失わないようにできました。これは、時間を節約する意味でも大きく役立ちました」
Iyer氏は次のように語ります。「Oktaは、まだプログラムを構築していた初期段階から素晴らしいパートナーでした。どのようなプロジェクトでも問題が起こることがありますが、このようなパートナーシップのおかげで障害を克服できました。Oktaの専門知識によって、移行が非常に簡単になりました」
Acharya氏も同じ意見です。「Oktaによってカスタマーエクスペリエンスが再現されるので、エンジニアリングスタッフの入念な調査が非常に容易になりました」
柔軟な拡張性
次に、AlbertsonsはAPIアクセス管理を展開しました。これにより、デジタル環境全体でセキュリティのギャップを排除できるとともに、カスタマーエクスペリエンスに影響を与えることなく、将来的に大規模な変更を行う柔軟性を得ることができます。
Acharya氏は次のように語ります。「APIアクセス管理を他のOkta製品と組み合わせることで、デジタル空間全体にわたる当社のAPI統合を確保できました。API間の安全な通信モードが提供され、安全性と拡張性が向上しています。季節ごとの需要の変動に応じて、モバイル、Web、マーケットプレイス、食とレシピ、サードパーティアプリのOneTouch Fuelなど、さまざまなクライアントにAPIを展開しています。しかも、お客様の観点からも、統合の観点からも、すべてがOktaによって非常にシームレスになっています」
Okta Identity Cloudは、必要なあらゆる場所でセキュリティを強化し、ポリシー主導のきめ細かなアクセス管理機能を追加します。また、よりシームレスなカスタマーエクスペリエンスを提供するので、ユーザーは何度もログインする必要がありません。
堅固な基盤
Albertsonsは成果を歓迎し、今後に大きな期待をもっています。Acharya氏は次のように述べます。「昨年は、お客様のエクスペリエンスが大きな影響を受け、当社もロイヤルティとEコマースの両方で追加のWebサイトを稼働するために大きな所有コストを負いました。今回の移行により、所有コストを削減し、シームレスな買い物のエクスペリエンスをお客様に提供できるようになりました」
このシームレスなエクスペリエンスを顧客に提供することで、同社のアナリティクスと可視性も向上しました。チェーンにまたがる顧客の行動について理解を深めることで、足元を固めることができ、カスタマイズされたエクスペリエンスを提供して顧客の要求の変化に対応できます。
Oktaを導入することで、Albertsonsは季節ごとの需要に対応するため、ロイヤルティとEコマースのプラットフォームの規模を必要に応じて調整できるようになりました。Acharya氏は次のように語ります。「Eメールキャンペーンでも、マーケットプレイスのような新しいイニシアチブであっても、Oktaによりシームレスな拡張が可能です。顧客アイデンティティ管理をどのように拡張すべきかと思い悩む代わりに、お客様がエクスペリエンスをどのように捉えるかに注力できます。この点において、Oktaのソリューションの使いやすさが真の意味で当社の役に立っています」
Albertsonsは、一貫した信頼性とともに、Oktaが提供する強固な基盤をとりわけ高く評価しています。Acharya氏は次のように評価します。「Oktaが当社の課題をそのまま引き受け、何が起こってもお客様への影響を最小限に抑えるようサポートしてくれます。これにより、当社は安定したソリューションを提供できます。お客様が当社を利用する際には、Oktaの機能が中核的な役割を果たします。素晴らしいパートナーシップを実現できています」
Albertsonsが期待したとおり、これは長期的なパートナーシップでもあります。基盤が整った現在、同社は統一されたカスタマーエクスペリエンスをOneTouch Fuelのような新しいイノベーションへと拡張することを計画しています。
Acharya氏は次のように語ります。「当初から、トレーニングから技術的な実装、日常的なワークショップまで、この取り組みでOktaがパートナーの役割を担うことになると考えていました。このパートナーシップのおかげで、あらゆる点で抜かりなく活動でき、すべてのリスクを評価できました。これはお客様が直接的に得るエクスペリエンスであり、失敗が許されないものでした」
Albertsons Companiesについて
Albertsons Companiesは、米国における食品・医薬品小売の大手企業であり、地域の店舗運営と全国事業の両面で強みを持っています。20州とワシントンD.C.で事業を展開する同社は、Albertsons、Safeway、Vons、Jewel-Oscoをはじめとする20以上の有名チェーンを運営しています。