Businesses at Work 2025:10年間のデータが示すセキュリティの重要性
過去10年間でビジネス環境は大きく変化しました。サイバー脅威の高度化、リモートワークの拡大、スマートフォンの普及などが代表的な例です。
この間に、「Businesses at Work」レポートは、組織や従業員が環境の変化にどのように適応し、新たにどのようなツールを導入しているかを追跡してきました。その結果、セキュリティの重要性とコラボレーションツールの必要性という2つの要素が、変わらぬテーマとして浮かび上がっています。
この新たな現実への適応により、多くの企業が高度なコラボレーションツールや業務アプリを導入すると同時に、新たなセキュリティソリューションの採用を進めています。「Businesses at Work」は、企業が活用しているアプリやテクノロジーのトレンドを分析したOktaの年次レポートですが、最新の2025年版ではセキュリティと生産性の両立が主要なテーマの一つとなっています。
このレポートでは毎年、Okta Integration Network(OIN)を利用するお客様数千社のデータを匿名化し、綿密に分析しています。これにより、主要な業界や地域における企業のソフトウェア選定の傾向が明らかになります。その結果、世界中の企業で最も人気があり、急成長しているアプリやサービスが特定されるとともに、深い洞察に基づくトレンドが示されます。
今年のデータに見られる主な傾向と、新たに明らかになった状況は以下のとおりです。
- あらゆる業界で検出される脅威が急増している
- 保証レベルの高い認証要素の普及が緩やかに進んでいる
- Workflowsの利用が着実に増加し、業務の効率向上に貢献している
- お客様1社あたりの導入アプリ数が重要な節目に達した
- 今年最も急成長したアプリ
主なポイントを以下に簡単にまとめました。詳細は、レポート全文をご覧ください。
「Businesses at Work」の10年を振り返って
2015年にOktaが初めて公開した「Businesses at Work」レポートは、現在とは大きく異なる環境における企業のソフトウェア選定を反映していました。この10年間で多くの変化があった一方で、今も続く重要な傾向も存在します。今年のレポートでは、特別企画としてこの10年を振り返る分析を行い、そうした傾向を明らかにしています。
「Businesses at Work」レポートの特徴的な要素の一つが、最も急成長しているアプリのランキングです。このランキングは、Oktaのお客様におけるアプリやツールの導入数の前年比成長率を追跡し、業界を超えた新たなビジネストレンドや変化する優先事項を示す貴重な視点を提供します。
初回の2015年版レポートでは、さまざまなツールが紹介されていましたが、セキュリティ製品は含まれていませんでした。しかし、2016年にはセキュリティアプリが登場し、優先事項の変化が見られるようになりました。現在では、急成長しているアプリの40%をセキュリティツールが占めており、企業が進化する脅威情勢に対応していることを示しています。
コラボレーション:コンテンツコラボレーション、ビデオ会議、プロジェクト管理、生産性向上、法務コラボレーションなど
開発者ツール
人事:従業員トレーニング、学習など
デザイン:ワイヤーフレーム作成、ホワイトボードなど
営業/マーケティング:Webホスティング、ソーシャルメディアも含む
データ/アナリティクス:データ分析プラットフォームも含む
クラウドプラットフォーム
ビジネスオペレーション:ITSM/ヘルプデスク、統合ワークスペース管理システム、経費管理、出張、事務用品、電子署名も含む
セキュリティ:ネットワーク/インフラ、データコンプライアンスも含む
企業のセキュリティ重視のトレンドを示すもう一つのデータとして、保証レベルが低い認証要素の減少が挙げられます。10年前、最も広く導入されていたのは保証レベルが低いセキュリティ質問でした。しかし、この10年間で、お客様はデジタルインフラをより強固に保護できる保証レベルの高い認証要素へと徐々に移行しています。
現在、Okta Verifyとプッシュ機能付きのOkta Verifyが最も利用されている認証要素となっている一方で、セキュリティ質問と保証レベルが低いSMSは、それぞれ10位と4位まで順位を下げています。
認証要素の前年比成長率を見ると、あらゆる規模の企業が保証レベルが高い認証要素の導入を加速させていることがわかります。Fortune 500企業は、最も保証レベルが高い要素を最速で採用しており、Okta Verify FastPassの前年比成長率は69%に達しています。一方で、小規模なテクノロジー系スタートアップ企業では、セキュリティ質問や電話(SMS/ボイスコール)などの保証レベルが低い要素を急速に廃止する動きが進んでいます。
セキュリティやコラボレーションアプリの顕著な成長など、10年を振り返った詳細な分析については、レポート全文をご覧ください。
サイバー犯罪者の攻撃が増加し、標的が変化
高度なサイバー攻撃が世界的に増加しています。今年は、Okta ThreatInsightの匿名化データを分析し、最も攻撃を受けている業界を特定しました。その結果、エネルギー/鉱業/石油/ガス業界が最大の標的となっていることが判明しました。最新のデータによると、この業界では認証試行の約3件に1件が攻撃の試みであり、前年の10倍という驚異的な増加を記録しています。また、非営利団体が2位となり、依然として18%の攻撃率という深刻な状況が続いています。
国別に見ると、米国、ドイツ、オランダが認証試行全体に占める攻撃の割合が特に高くなっています。これら3か国では攻撃率が5%を超え、前年から大幅に増加しました。参考までに、2024年のレポートではイスラエルが攻撃率約2%未満で最も標的となっていましたが、今年はこの数字ではトップ5にも入らない状況になっています。
セキュリティとコラボレーションソリューションを中心に、これまで以上に多くのアプリを導入
今年、企業が使用するアプリの平均数は101に達し、長年の横ばいを経て、ついに100の大台を突破しました。企業は引き続きセキュリティアプリとコラボレーションアプリに多額の投資を行っており、これらは今年最も多くの企業に導入されたアプリの60%を占めています。急成長中のアプリについては、データコンプライアンスツールが引き続き大きく伸びており、DrataやVanta(今年最も成長率の高いアプリ)がその代表例となっています。
今年最も導入されたアプリや急成長しているアプリの詳細については、レポート全文をご覧ください。
今年、各アプリカテゴリの成長を業界別に分析したところ、興味深い知見が明らかになりました。昨年注目を集めたデザインソフトウェアは依然として多くの業界で人気があり、前年比7%の成長を記録しました。特に、行政機関(35%)とエネルギー業界(24%)での成長が顕著でした。
行政機関について見ると、今年は公共部門があらゆる種類のアプリやツールを積極的に導入し、すべてのカテゴリで増加しました。実際、80%のカテゴリで二桁成長を記録しています。一方、製造業におけるアプリ導入はほぼすべてのカテゴリで減少または横ばいとなっており、多くの業界でビデオ会議アプリやネットワーキング/インフラ系アプリの導入が減少しています。
Workflowsの活用が効率化を促進
AIと自動化を活用したワークフローによる効率化は、2030年までに世界経済に15.7兆ドルの価値をもたらすと予測されています。今年のデータもこの傾向を裏付けており、Okta Workflowsの導入が世界的に急速に拡大しています。特に、日本とフランスがトレンドを先導しており、それぞれ前年比34%の成長を記録しました。さらに、イスラエルが26%の成長で続いています。
Workflowsの業界別導入率は、依然としてテクノロジー業界が最も高い状況にあります。しかし、他の業界も急速に追いつきつつあり、特に行政機関では最も顕著な成長を見せ、前年比66%の増加を記録しています。
今すぐ活用できる実践的な知見
この10年間、「Businesses at Work」は企業にとって貴重な情報源であり続けてきました。今回発表された2025年版にも、より賢明なビジネス判断を下すための明確なトレンドと機会が示されています。詳しくは、Businesses at Work 2025をご覧ください。
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