COVID-19が働き方に及ぼす影響:Zoomブーム + MFA(多要素認証)が果たす大きな役割
COVID-19のパンデミックは、人々の暮らしと働き方の両方を劇的に変えました。Oktaが本社を置くカリフォルニア州をはじめとして、米国の多くの州が屋内退避やソーシャルディスタンシングの命令を発出し、多くの労働者がリモートワークを余儀なくされています。地方政府や中央政府が指針を出していない場合でも、多くの企業はオフィスを閉鎖することを選択しています。その結果、全世界の何百万人もの人々が初めてリモートワークを利用しています。
世界中の組織は、長年にわたってビデオ会議を使用してきました(Skypeは2003年に設立され、Zoomは2011年に創業されました)。しかし、リモートで働く同僚とのつながりを維持するための新しい方法が必要となっている現在、SkypeやZoomといったツールやそれらのセキュリティを保護するMFAはこれまで以上に必要不可欠な役割になっています。
これらの変化を受けて、Oktaの私のチームは、どれだけの企業がビデオ会議を強化しており、その場合にどのようなツールを使用しているのかという点に注目しました。私たちは、Okta Integration Network(アプリケーションとインフラストラクチャプロバイダーへの事前統合済み7,000以上を含むネットワーク)全体のトレンドを調べました。そこから、業務で使用されているアプリに関する独自の洞察を得ることができました。
2020年2月28日(米国のほとんどの企業がリモートワークを指示する前)から2020年3月27日までのデータを収集しました。従業員の保護のためにOkta製品を活用しているお客様から集めたデータを分析する際、特に注目したのは2つの数値です。第1に、1日あたりのユニークユーザーログインの合計数を調べました。これは、特定の日にビデオ会議アカウントにログインした(またはMFAを使用してサインインした)一意のユーザーの人数を指します。たとえば、私がZoomに4回ログインした場合、またはMFAにより8つのアプリにサインインした場合、1回だけカウントされます。第2に、ログインイベントの合計数を調べました。これは、すべてのユーザーのログイン数の合計を指します。たとえば、私がZoomに4回ログインした場合、またはMFAにより8つのアプリにサインインした場合、各ログインが個別にカウントされます。
この調査から、以下の所見を得ることができました。
Zoomブームが起こっている
この数週間で、特にZoomを使用するビデオ会議が急増したことがわかりました。現在、多くの人々がリモートで作業しているため、この増加は当然であると言えます。つまり、ミーティングのためにビデオ会議を必要とする企業が増えているのです。また、世界中の人々が、オンラインの授業、家族の集まり、ジムのトレーニングなどの仕事以外の目的でも、Zoomのようなアプリを使って繋がるようになっています。
3月27日には、2月28日に比べて、Zoomでは1日当たりのユニークユーザー/イベントの割合が格段に増加しました。ユニークなZoomユーザーは191%増加し、Zoomログインイベント合計数は222%増加しました。他のビデオ会議ツールでも、2月28日から3月27日までにログインイベントの割合が増加しましたが、Zoomほどの増加は見られませんでした(Cisco WebExのログインイベントは68%増加、RingCentralのログインイベントは55%増加)。
過去数週間におけるビデオ会議アプリの利用者数にはさまざまな要因が影響しています。そして、政府が発出したソーシャルディスタンシング命令などの特定の出来事が、利用者の急増と相関していることが示されています。フランス全土のロックダウンが発表された3月16日(月)には、Zoomのユニークユーザーログインが前の週の月曜日に比べて95%増加しました。また、カリフォルニア州が屋内退避命令を発表した3月19日(木)には、Zoomのユニークログインが50%増加しました。
MFAの役割と依存度の高まり
COVID-19に関連するアイデンティティ/フィッシング攻撃が増加しており、Oktaの保護が必要とされています。Oktaの多要素認証(MFA)により、バイオメトリック識別子(指紋など)、セキュリティの質問、ワンタイムパスワードのような要素を使用してユーザーログインの認証を実行できます。正当なユーザーのみが企業のアプリケーションやデータにアクセスできるように保証するMFAは、今日では不可欠なものとなっています。
また、各ログイン試行の一意のコンテキストに基づく、カスタマイズされたMFAポリシーを設定できます。たとえば、認証要求が新しい場所、デバイス、またはIPアドレスから送信される場合は、複数の要素を要求できます。現在は多くの人々が自宅で働いているため、Oktaのお客様は新しい場所やデバイスから業務関連のアプリにログインするようになっています。その結果、MFAイベントが大幅に増加しました。2月28日以降に、MFAイベントの合計数が78%増加していることが検出されました。
この困難な時期に、Oktaはすべてのお客様に対してMFA導入などの支援をしています。クラウドベースのマルチテナントアーキテクチャモデルと分散データセンターのアプローチは、増大する顧客の需要に対応し、サービスを中断することなく運用できるように設計されています。また、MFAイベント数の増加は、Oktaのお客様が従業員とビジネスを安全に保っていることを肯定的に示すものと考えることができます。
COVID-19がもたらした働き方の変化
Oktaでは、エンジニアリングチームとITチームの両方がパンデミック以前から積極的にZoomを利用していました。しかし、常に在宅で働くようになった現在、業務関連のミーティングだけでなくチームの結束を高める活動でもZoomを使用するようになっています。バーチャルの飲み会は、リモートでつながりを維持するための素晴らしい方法です。最新では、チームメンバーがお気に入りのドリンクを持参し、「ベストなZoom背景」を選ぶコンテストを開催しましたが、皆が創意工夫を凝らした楽しいコンテストになりました。 現在のWFH(テレワーク)環境でチームをつなげ、交流するための素晴らしい方法です。
この調査でデータから得た重要ポイントは、他の企業も同じ状況にあることを示しています。つまり、Zoomブームが起きており、その中でMFAが重要な役割を果たしているのです。実際に、サイバーセキュリティはかつてないほど重要になっています。世界の状況が変化していく中で、これらのツールやテクノロジーが働き方やコミュニケーションのあり方に与える影響を、今後も注視していきたいと思います。Zoomに関する詳細は、ポッドキャスト 「Zero to IPO」 の最近のエピソードでも確認できます。Okta共同創業者のFrederic Kerrestが、Zoom創業者兼CEOのEric Yuan氏にインタビューしていますので、ぜひご利用ください。